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2018.12.29お知らせ, トピックス, 中高年しごと物語いしかわ

中高年しごと物語いしかわ~自分の出来る範囲でやりたいことをする~


とても活き活きとした笑顔が素敵なKさんは、現在ポン菓子の移動販売とタクシー運転手という2足の草鞋を履いています。実はKさんは数年前までは会社を経営する社長さんでした。

今から十数年ほど前に、葬儀会社で20年勤められていたKさんは、葬儀に司会者等を派遣する専門の派遣会社を立ち上げました。事業は順調に伸びていましたが、10年が過ぎようとしていたころ、ご家族の介護をKさんがする必要に迫られました。Kさんのお父様、そしてお母様。
事業の継続は難しくなり、介護の傍ら合間でできる仕事を探しました。運送業、建設の現場作業、色々な仕事をしました。しかし介護と最低限のお金を稼ぐだけの仕事を続けることはKさんにとってはだんだんと辛い毎日となっていきます。
介護が少し落ち着いたころ、Kさんは何か自分のやりたいことをしたい!という思いが強くなりました。

では具体的に何がしたいか、自分の人生で楽しかった時はどんな時だったか思い返した時に、若い頃ラーメンの屋台をして楽しかったことが浮かびました。「そうだ、また移動販売をしたい!」Kさんは、インターネットで何の移動販売が良いか調べ始めます。そして、ユーチューブでポン菓子の動画を見て「これだ!」と思ったそうです。これなら、お年寄りも懐かしくて喜ぶし大きな音が出るから今の子供達にとっても面白いのでは、と。

Kさんは持ち前の行動力で移動販売を立ち上げ、販売先も確保して行きました。しかし、ポン菓子の売値は一個150円程度。移動販売だけでは十分な収入が得られず、昼間に移動販売をする傍ら、夜はホテルの清掃を始めました。これまで社長業などで昼夜働くことに慣れていたはずでしたが、夕方からの体力仕事は意外ときつく、転職を検討し始めます。
その折に石川県の就職支援講座のチラシが目に留まり、それがきっかけで㈱歩のお仕事紹介に申込ました。Kさんは夜に出来るもう少し体力の要らないお仕事と希望を出し、タクシー運転手のお仕事の紹介を受け転職を果たしました。

「人を乗せる仕事は不安という方も多いのですが、それはなかったですか?」とお聞きすると、「確かにタクシーの運転に必要な二種免許も所持していなかったし、これまで考えもしなかった仕事でした。でも夜できる仕事だし、体力も然程要らない、そして人とお話するのは好き、資格取得費用も会社が持ってくれる。じゃぁとりあえずやってみよう、と。僕はやるかやらないか、なら“やる”を選択するんです。」

入社後、Kさんにとっては新鮮なことばかりだったという。「58歳で入社したのに、僕が一番若かったんですよ、平均年齢が73歳。定年は無いのですから。人間関係は良いし、おもしろい。タクシーの運転手はいろんな人生経験をしている方が多い。お話を聞いているだけで、今更ながら社会勉強になります。あと、タクシーは流しのイメージが強かったけど、通院や買い物の送迎など固定客も多い。案外昼間の仕事が多かったので、1回の勤務で昼夜働き、次の日は休んでポン菓子だけ、の方が体も楽なことに気がつき、そうしました。」

最後にKさんには働く上で大切にしていることをお聞きしました。「一番大切にしていることはやはり人間関係です。老人ホームへポン菓子の販売に行けばお年寄りの子供になったような立場で話し、可愛がってもらう。若い人と一緒に働いていた時は友達のような感じで話し、インスタグラムを教えてもらいました。相手の目線に立って話をするように心掛けています。」なるほど、Kさんとお話していると年齢の差を不思議と感じないのも納得がいきました。

社長業を経験しているにも関わらず、偉ぶった感じが全くなく、フットワークが軽く明るい印象のKさん。そんなKさんのポン菓子実演はさぞかし楽しいだろうなと思いました。「やっぱり自分のやりたいことを、自分のできる範囲でいいからやるのが一番です。」色んなご苦労をされてこられたKさんだからこそ、そのひと言にとても勇気をもらいました。

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