まず、震災ボランティアの方々の活動に心を打たれたMさんは清掃の仕事にチャレンジしました。人の役に立てたらと思って就いた仕事でしたが、業務で使用する洗剤がどうしても体に合わず、退職を余儀なくされました。

次にMさんは生命保険営業の仕事に就きました。「働いている内に営業は自分に向いていないと思った。けれども、この仕事で電話スキルや接客マナーを学べた。今の仕事にも活かせている。一年ほどで辞めてしまったが、自分の中で何が自身に向いているのかも整理できた。無駄な時間ではなかった」と、転職で得たスキル・経験を教えてくれました。

いくつかの仕事にチャレンジした後、Mさんが就いた仕事はコールセンターでした。お母様に会う為に定期的に金沢へ帰省するMさんにとって、コールセンターはとても融通の利く仕事でした。人が多いから休みが取りやすく、シフト制で希望の休みが取れるそうです。

「母の認知症が進み、親戚と話し合って金沢へ戻ったのは57か58才の時だった。家庭の事情で母と一緒に暮らすことはできなかった。だから一人暮らしをしないといけない。家賃を払うためにまた仕事を探さないといけなかった。そんな時に派遣の説明会があったので飛び込んだ」

金沢へ戻ってからもすぐにコールセンターの派遣が決まったそうです。しかし、派遣として働くことにMさんは悩むようになりました。

「派遣は普通に働くよりも時給が高い。けれども、契約期間が短い。大体が3ヶ月で、長くても9ヶ月くらい。慣れた頃に辞めてまた仕事を探さないといけない。その繰り返しを考えると落ち着かない。それならばパートでも良い。同じ職場で長く働きたい」

「高額を求めるのではなく、安定した給料を欲しいと思った」

そしてMさんは金沢でハローワーク登録をして仕事を探し、車のローン代理店でコールセンターの仕事に就きました。現在の職場は若い方も多いそうです。

「若い方は色々な業務を抱えて忙しい中、時間を割いて私達中高年シニアに教えてくれている。そのことに対して感謝の気持ちは持たないといけない」

「過去に自分が何をやっていたのかとか、どこに勤めていたのかも確かに大事なことかもしれない。けれども、それが今の仕事にちゃんと活用されるかがポイントだと思う。今の年齢の自分に何ができるかの認識が一番大切で、過去のことは捨てる必要もあると思う」

50代からの転職を通じて様々な経験を得たMさんのお話に、参加者の多くの方々が拍手をしていました。そして『考えるのではなく、まずは行動に』をモットーのMさんが、仕事を探している皆さんにエールを送ってくれました。

「仕事探しはエネルギーが要ります。けれども、めげずに頑張ってください。頑張れば必ず良い結果は出ると思います」